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企業ロゴやクリエイティブなどを制作する際、希望にぴったり合ったカラーがなかなか表現できなくて困った経験はありませんか。
通常のプロセスカラーで表現できないカラーは、「特色」を使うと簡単に表現できます。そこで今回は、特色とは何かという概要から、プロセスカラーとの違い、利用するメリット・デメリットなどについて、詳しく解説していきます。
印刷物のカラーについてお悩みがある方は、ぜひ参考にしてください。
特色とは? プロセスカラー(CMYK)との違い
通常、印刷物の色は「プロセスカラー」という4色のインクの組み合わせで表現されます。
プロセスカラーにはシアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、キープレート(Key Plate)の4色があり、それぞれを混ぜ合わせることで、多彩なカラーを表現します。そのため、各インクの頭文字を取って「CMYK」と呼ばれることもあります。
その一方「特色」とは、目的のカラーを表現するために特別に調合されたインクのことです。プロセスカラーの場合、4色を混ぜ合わせるため、どうしても表現しにくいカラーが出てきます。そんなとき特色を使えば、目的のカラーをピンポイントで表現できるので、カラーにこだわる場面で多く使用されます。
RGBとは?
RGBとは、PCやスマートフォンなどのディスプレイ上での色の表現方法です。レッド(Red)、グリーン(Green)、ブルー(Blue)の3色を組み合わせるため、各色の頭文字を取ってRGBと呼ばれています。
ディスプレイ上で確認したにもかかわらず、印刷してみると色味が違ったという経験は誰しもあるでしょう。これは、RGBで表現されたものを、プロセスカラーで印刷しているから生じる現象です。特色の場合も、ディスプレイ上で見ると実際のインクのカラーとは違って見えることが多くあります。そのため、特色のカラーイメージを詳しく確認したい場合は、なるべく紙面での色見本を確認するとよいでしょう。
特色には2種類ある?
特色を指定する際はカラー番号の指定が必要ですが、その際「DIC(ディック)」と「PANTONE(パントン)」の2つの形式があります。
まずDICは、日本のDIC株式会社が作る特色インクを表します。日本の会社が提供している特色インクということもあり、日本企業の間で高いシェアを誇ります。
一方のPANTONEは、アメリカのPANTONE社が作る特色インクのことです。こちらは日本に限らず、世界共通で使われる特色インクなので、グローバル企業のロゴなどで多く使用されます。
DICとPANTONEは、基本的にどちらを選んでも問題ありません。しかし、制作会社によっては片方のみに対応している場合もあるので、希望がある場合は事前に確認しておくとよいでしょう。
特色を利用するメリット
ロゴやクリエイティブなどで使うカラーに特色を利用すると、多くのメリットが得られます。
ここでは、代表的な3つのメリットについて、詳しく確認していきましょう。
メリット①:独自のカラーを表現できる
特色を利用する1つ目のメリットは、プロセスカラーでは表現できない独自のカラーを表現できる点です。
プロセスカラーの場合、複数色を組み合わせて色を表現するので、希望の色にならないことがあります。4色の絵の具を混ぜて任意の色を作ることを想像してもらえれば、その難しさがわかるでしょう。
その点、特色はいわば、希望の色の絵の具を特注するようなものなので、基本的にどのようなカラーでも、希望通りに発色させられます。
そのため、独自性を出したい企業ロゴやクリエイティブなどを作成する際には、頼りになる存在となるでしょう。
メリット②:仕上がりが安定しやすい
特色を利用すると、プロセスカラーより仕上がりが安定しやすい点も大きなメリットでしょう。
プロセスカラーでは、CMYKの4色のインクを混ぜ合わせて指定のカラーを表現するので、印刷環境によって仕上がりにバラツキが生じます。そのため、以前と同じ指定で依頼したのに、仕上がりの色味が違うこともあり得ます。
その一方、特色は希望のカラーをピンポイントで指定するので、仕上がりにバラつきが生まれにくいです。そのため、色のニュアンスを損ねることなく、常にイメージ通りの制作物に仕上げられます。
メリット③:明るいカラーを鮮やかに表現できる
特色は、プロセスカラーに比べて明るいカラーを鮮やかに表現しやすい点もメリットです。
プロセスカラーは別名「減法混色」と呼ばれ、混ぜれば混ぜるほど色が暗くなっていきます。そのため、ディスプレイ上のRGB表示では鮮やかだったものが、プロセスカラーで印刷するとくすんで見えるということが往々にしてあります。
その点、特色は明るいカラーであっても鮮やかに表現が可能です。特に金・銀・蛍光色などはプロセスカラーだと表現が困難ですが、特色ならイメージ通りに表現できるでしょう。
特色を利用するデメリット
以上見てきたように、特色はメリットの多いインクですが、少なからずデメリットもあります。印刷時に特色を使う際は、デメリットを事前に踏まえておくことが大切です。
ここでは、代表的な3つのデメリットについて、詳細を確認しておきましょう。
デメリット①:プロセスカラーよりコストがかかる
特色は、プロセスカラーよりも印刷のコストがかかる点がデメリットです。
プロセスカラーは4種類のインクの組み合わせでカラーを表現するので、色数が多くなっても比較的低コストで印刷ができます。その一方、特色は指定のカラー専用のインクを使うので、色数が増えれば、それだけコストがかさんでしまいます。
ただし、特色を使ったからといって、必ずしもプロセスカラーより割高になるわけではありません。たとえば、色数の少ない中に特色を使う場合、大量の色を使うプロセスカラー印刷より、結果的にコストが安くなる可能性もあります。
特色の使用でどれくらいのコストがかかるかは、依頼する制作会社によっても異なるので、まずは問い合わせて確認してみるとよいでしょう。
デメリット②:用紙によってカラーの雰囲気が変わる
インクは、印刷する用紙によってカラーの雰囲気が大きく変わります。希望するカラーをピンポイントで指定する特色の場合、その差を大きく感じやすいので注意が必要です。
特色の色見本帳にも使われるコート紙(塗工紙)は、色の再現度が高いので、特色をイメージ通りに印刷できます。その一方、艶のない非塗工紙に印刷する場合、艶がなく落ち着いた印象に仕上がります。そのため、塗工紙で確認したカラーイメージで非塗工紙に印刷すると、イメージと違う仕上がりになる可能性があるので注意しましょう。
デメリット③:DICとPANTONEは変換ができない
先述の通り、特色にはDICとPANTONEの2形式がありますが、これらは相互に変換ができない点に注意しましょう。
世界基準はPANTONEですが、国内企業ではDICのみに対応していることも少なくありません。そのため、たとえば既にPANTONEで色指定されているものを印刷依頼した際、DICしか対応していないと断られたり、PANTONEで指定するには別途費用がかかったりする可能性があります。
そのため、DICかPANTONEかで形式に希望がある場合は、対応可能かどうか事前に制作会社に確認してから、印刷を依頼するようにしましょう。
まとめ
今回は、ロゴやクリエイティブの印刷時に重要となる「特色」について、プロセスカラーとの違いや、メリット・デメリットを詳しく確認してきました。
特色とは、希望のカラーを表現するために特別に調合されたインクのことです。そのため、プロセスカラーでは表現できない色を表せますが、その分コストが高くなるなどの注意点も発生するので、ニーズに応じて選ぶことが大切です。
弊社RenoBoxでは、ロゴやクリエイティブの制作を承っております。デザインはもちろん、カラーについても貴社のご希望を踏まえ、適切なものをご提案いたします。
ロゴやクリエイティブの制作で何かお困りごとがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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